2017年12月7日木曜日

『夢野久作傑作選』

1976年に、文庫判の『夢野久作傑作選』(現代教養文庫)5冊のうち最初のものを読んでから、5冊を順次読了することになった。探偵小説というものは、そういう読者を熱中させるものがあるのだろう。
今は次の2つについて以外は、内容を思い出せない。

1つは、長編『ドグラマグラ』に出てくる、新興宗教のような怪しい祭文。チャカポコ拍子をとりながら歌うような長文だったが、あの部分は再読してみたい。

もう1つは虚言癖の娘が、自らの経歴そのほか全てを虚言で装い、そのように世間にとりつくろい、恋人にも接するのだが、そうしているうちに虚がばれそうになったのか、虚言そのものに疲れ果てたのか、忽然と姿を消す話。今の世の人間は誰しも自分を装うことばかりに気をとられてはいないかというテーマにもなってくる。

その後の興味や関心の進展により、この2点だけは何度も思い出す機会があったので、自分の永いテーマとして記憶に残っているのだろう。

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