2017年12月1日金曜日

劇画とは何か 『現代漫画論集』

 著者は『漫画主義』という雑誌の同人で、石子順造ほか3人。40数年前のわが青春の一冊でもある。
 当時の記憶だけをたよりにこのブログを書いているが、最も印象に残る論文は、権藤晋の劇画論だった。小説などもそうだが、作品論といえば、作家の生い立ちやら、経験から形成される思想などを主体に論じられることが多いが、この論は、読者や読者層の生活やら世界観を主体にして、大衆文化論にとどまらない作品論に踏み込むものだった。その読者層とは、昭和30年代の貸本屋の主たる客だった「非学生ハイティーン」ともいうべき若者たち。辰巳ヨシヒロやつげ義春らが「劇画」を代表する作家だ。
 しかし貸本屋は、農村部にはなかったので、想像するしかなかった。

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